カンヌライオンズに行ってきて思ったこと01

Roy | 2011.6.27

カンヌライオン2011にBirdman代表で行ってきました。
まず、一番残念だったのは時間が全然足らなかったこと。今回近畿ツーリストのツアーで6日間コース、10日間コースがあったのだが選んだのは6日間コース。つまり4泊6日だ。


これ多く見えるのだが、実際に行ってみると全然時間がない。まず、CMのスクリーニングがカテゴリーごとに分かれてやっているため膨大にある。木曜日まではショートリストに入っていない物も含めてすべての応募作品が流されるので、数も膨大にある。1カテゴリーにつき全部見るのに2時間くらいは費やされる勢いだ。ショートリストにも入っていない物を見てどうすんの?と思われるかもしれないが、結構これが重要でカンヌに来ている醍醐味とも言える。すべての映像を見ていると優秀な作品はみんなが反応するのだ。拍手したり笑ったり反応が起こる。

ショートリストに入っていない物を含めずーっと流して見ていると訴求内容が明確でシンプルな物が多かった。つまり詰め込み過ぎず、一つに絞ったことを訴求する。まあ、当たり前なのだが。。。後は下ネタはみんな基本ウケる感じ。。。とにかくフィルムは色んなアイディアが一気に見れるのでとても刺激を受けた。

Filmのグランプリ ※制作予算50億円だって。。。汗
Nike “Write The Future” Wieden+Kennedy Amsterdam


Volkswagen “Force” Deutsch Inc. Los Angeles
Volkswagenはこれ以外でも全体的にクリエイティビティーが高くて好きでした。



一番下のフロアではIntegratedやプリント、Out Doorなどの展示が並んでいる。これも数が非常に多い。今年から?はショートリスト以上の受賞作品が展示されていた。その中でも気になった物はTwitterでその都度あげてみたのだが、ここでまとめてみる。



一番自分的に好きだと思ったのが韓国のメディアライオンのグランプリを取ったTESCO HOME PLUS。店舗数を増やさずにどうやって売り上げを伸ばすか、という課題に対し、バーチャルストアでオンラインの売り上げを伸ばした。実物大の大きさの商品達が並ぶポスターにはそれぞれ商品と一緒にバーコードが記載されている。このバーコードをスマートフォンで読み込むとオンラインストアにつながり、品物が自分の家に届くという仕組みだ。このポスターを置く場所によってそこが店舗に早変わりするというわけだ。たとえば、地下鉄の通路にポスターを貼った場合仕事帰りにわざわざ店舗に行かなくてもポスターから購入できる。





これがオンラインストアとどう違うかっていうと、気付きがある部分だと思う。AmazonなどのOnlineストアは自分があれが欲しいという明確な目的がはじめにあってからの行動なのだが、この施策は仕事の帰り道が商品に囲まれた通路になることによって、まるでお店の中に通路があるような状況になり「あ、これ買っておかなきゃ」、「あこれ、もう無かった」、みたいな状況が圧倒的に増えるわけだ。おなかすいていたら衝動買いも増えるだろう。実際にインフラとかを整えなければならないし、色々大変だとは思うのだが、自分がなんでこれを気に入っているかというと、ユーザの行動自体がデザインされているからだ。超イノベーティブなアイディアか、というとそうでも無いと思うのだが、こんなの普通にできるよね、今までなかったっけ?と思わせるところがまた悔しい。



ちょっと長くなったのでやっぱり少しずつBlogをアップしていこうと思うのだが、もう一つだけ紹介する。何ライオンだったっけ?グランプリに輝いたROMというチョコレートバーのルーマニアでのキャンペーン。



このROMというお菓子はルーマニア製なのだが最近Snickersなどのアメリカのチョコレートバーに押され気味でなんとかして売り上げを奪還したいという課題だった。で、彼らがとった施策というのがほんとすごい。ルーマニア製のチョコレートバーROMがアメリカに寝返った的なキャンペーンを仕掛けた。パッケージから広告、すべてをルーマニアではなくアメリカンROMに変えてしまったのだ。当然どういうことだと人々は怒り、反感/反響を呼んだ。これをさらに後押しするべく、WEBなどでこの怒りの意見などを投稿させみんなが議論できる場を作った。つまり一度注目をさせるためにわざとアメリカに乗っ取られたような体で反感を買い、愛国心をつついた訳だ。そしてその話題がマックスのタイミングの1週間後にROMはやはりアメリカンじゃなくてルーマニアの物だ!ということをすべての広告を一気に変更し愛国心をあおり、注目を集めブランド認知、好感度、売り上げともに大きく上向きに変えた。ぶっちゃけこのキャンペーン、日本じゃ絶対通用しない。だって日本人てあまり愛国心を外に出さないし、羊羹がアメリカンパッケージとかになっても見向きしないと思うし。



でもここで何がすごいのかっていうと、このキャンペーンで行こう!と決めたクライアントの英断がすごい。。。。こんな賭みたいなキャンペーンでよく実施しようと思ったな。。それよりすごいのはエージェンシーがどういうプレゼンでクライアントをこのキャンペーンで行こう!という英断をさせるに至ったかが知りたい。ものすごい資料とかを用意してこのキャンペーンは絶対成功するデータをかき集めたのだろうか。。。下手したらブランドとその会社そのものの信頼さえも無くしかねないこのキャンペーンを行ったこと自体がものすごいことだ。



また作品は少しずつ紹介していくのですが、今回カンヌに行ってもっとも感じたことはもっと大きなスケールで考えるということ。紹介した上の2つのキャンペーンもそうだけど、こじんまりと考えていると絶対にこういう発想って出てこない。それに通じる考えとしては、伝えたいことを過大解釈して伝えるという手法を、中途半端にやるんじゃなくて、途方もなくスケールをでかくして伝えるとおもしろいってことかなー。手法の一つでしかないかもしれないけど、伝えたいことを絞ってその絞った情報をとてつもなく大きい(過剰に拡大した)形で伝えるというのはおもしろいと思ったし、そういうアホなことをすごい金を使ってやる的なことはどんどんやっていきたいと強く思った。



とりあえず今回はここまで。
カンヌから戻る飛行機の中から。

  1. […] の電車が来るまでに注文しなきゃ」とタイムリミットがあるかのような錯覚に陥る。BIRDMAN 筑地さんのBlogでも書かれていますが、あらかじめ買う目的が定まった状態で訪れるAmazonとはまっ […]

  2. […] アワードが獲れなかった昨年、Blogを書いてからからちょうど1年が経ちました。それから何か変化があったのか?というと、、、はい、かなりありました。去年は正直めちゃくちゃ悔しかった。めちゃくちゃ悔しくて、何か自分に変化を与えなくては、という想いで行った昨年のカンヌライオンは自分の中で変化が起こるきっかけになったと感じています。(これからもずっと広告をやって行きたいと思っている人は必ず1度は行くべき!)カンヌでは色んな作品を見まくって刺激を受けまくって、いわゆるカンヌ熱にかかって日本に帰ってきてBlog書きました(続きも書くはずだったが…)。 さて、この1年前のエントリーで宣言した通り、Birdmanを15人規模から倍の30人規模を目指すべく新たに力になってくれるメンバーを探してきました。1年前は14人だったのが来月から25人(産休2人含む)になるので、1年で10人くらい増えたことになります。社内では何度も言っているのですが、メンバーを増やすのは事業拡大とか仕事がもっと欲しいからとかそういう理由ではなく、純粋にクリエイティブに時間をかけたいから。15人規模の場合、自社プロジェクトに3人投入するのは難しいけど、30人のうちの3人だったら投入できるかなー、とかっていう単純な考えです。スタッフの数を増やすにあたり、当たり前ですが単純に誰でも良い訳ではなく。。。しかしすごく優秀な人達が集まってくれました。今後BIRDMANを支えていく人達です。BIRDMAN MEMBER そして効果はあったのか?はい、ありました。はい、ありました。2回言います。 下記は今年に入って受賞した賞です。 ■The FWA Site of the Day / INTEL POP-UP THEATER Site of the Day / UNIQLO UU Site of the Day / THE Z-TRIALS Site of the Day / PROJECT BIRDMAN ■ADFEST Best Use of Online Video [Silver] / Bright Siren Best Use of Interactive Video [Bronze] / Bright Siren Single for Production Design [Silver] / Bright Siren ■THE WEBBY AWARDS Best Editing [HONOREE] / Bright Siren Music [HONOREE] / Bright Siren Best Use of Video or Moving Image [HONOREE] / Bright Siren ■TOKYO INTERACTIVE AD AWARDS その他のインタラクティブ広告部門 [銀賞] / Face Boom! オンラインビデオ部門 [銅賞] / Ultrabook POP-UP THEATER プロダクトサイト [入賞] / UU MAP オンラインビデオ部門 [入賞] / Bright Siren ■広告電通賞 インターネット広告電通賞 [最優秀賞] / 明治果汁グミ〜メグミとタイヨウ〜 ■CANNES LIONS Cyber Lions [BRONZE] / Bright Siren Cyber Lions [SHORTLIST] / UU MAP あ、明らかに去年とは違う・・・。 The FWA を4月から5月の間の1ヶ月間に4つ獲りました。1ヶ月の間に4つって世界でもなかなか無いんじゃないでしょうか? BIRDMANのFWA受賞一覧はこちら。ちなみに、BIRDMANのThe FWAでの世界ランクはアバウト59位ですねー。不思議です。。 PARTYと制作したBright SirenがAdfestやWebbyで沢山受賞。 昨年は全くかすりもしなくて、グレる寸前まで追い込まれたTIAAは今年4つも受賞。 広告電通賞ではヤバイくらいの強豪を抑えてのまさかの最優秀の広告電通賞!TYOさんと一緒に制作したこのメグミとタイヨウは弊社で企画制作をした作品なので、すごく思い入れ深い賞になりました。 そして先日Cannes Lionsの発表がありました。これは世界一の広告賞といっても過言ではない賞なので、色つきの賞が獲れたということで去年の悔しかった思いがやっとチャラになった感じがします。 2012年になって半年しか経っていませんが、去年との違いは明らかです。人数が増えたことによって「クリエイティブに時間をかける」という考えが多少なりとも影響している結果なんだと思います。確実に1人が1案件にかける時間が増えました。ディレクター/プランナーも増えた結果、企画のブレインが増えました。ムービーチームもできました。そしてCGやオフライン編集などを専門にやることによってクオリティーがあがりました。 勘違いしないで欲しいのは、決して作業が楽になった訳ではない、ということ。UU MAPは幅20万ピクセル以上/100GB(!)の画像をデザインチームが1ヶ月間休み無しに死ぬ思いでがんばった。Pop-up Theaterだって休日返上でディベロッパーが全員集まって60台のPCを公園でテストしたり、FaceBoom!だって毎晩徹夜続きでがんばった。「頑張っても報われない時があるけど、頑張らないと絶対に報われない」と弊社のディレクターの金澤が今年の新入社員に言っていた。良いこと言うじゃん!と。なんかめっちゃ泥臭い感じかもしれないけど、ほんとにそう思う。。 今年、去年よりもある程度の結果を出しているのはやっぱり去年悔しかった思いがあったからだと思う。少なくともきっかけはそう。めちゃくちゃ悔しかったら何かを変えていこうと思ったし。じゃあ、実際に今年は満足したのか、というと全然そんなことはない。あの作品やこの作品も獲れなかった。しかも1つもGOLD獲れてないじゃん。まだまだチャレンジすることいっぱいあります。今回GOLDを獲れてないのはむしろ良いことなんじゃないかくらいに思ってます。だって鼻血出そうなくらい悔しいから。この鼻血パワーで1年がんばれるくらいな感じで思ってます。めちゃくちゃポジティブだろ? アワードアワード言ってしまっていますが、アワードが全てだとかは思っていません。やっぱりアワードとかってその年の流行とか、それが新しいのかとか、その年の審査員によっても変わる所もあるし、アワードが獲れるキャンペーンが売り上げ的な結果を出せるやり方とは限らないし。 ↑っていうのが去年まで。やっぱりクリエイティブをやっていくからには、両方で結果を残す所を目指していかないとダメなんだと考え直した1年でした。広告をやっている以上、クライアントの課題を解決するのは当たり前で、その先で何ができるかがクリエイティブ力の見せ所だと。そこを目指すためには、いつでもどこからでもそこに狙いを定めて行かなきゃダメなんだと考えを変えました。やっぱりそうじゃないとアイディアもこぢんまりしちゃうというのが分かったので。Twitterのプロフィール文も「悩んでます」から「悩みが晴れた」に変更しておきましたよ。二兎追うものは一兎をも得ず、と言いますが、いやいや二兎追ってたら三兎もとれちゃったよ、ラッキー!くらいなのを目指したいと思いますよ。 去年のカンヌから1年、本当に色んな人達とお仕事させていただきました。BIRDMANにいろんなチャンスをいただき本当にありがとうございます。この1年でずっと悩んでいた私の個人的なモヤモヤが解決したので本当にみなさんにお礼が言いたいです。今年の結果に悔しい!と言っているのは私だけではなく、BIRDMANメンバーからも出ている言葉なので、これからさらにハングリーになったBIRDMANが飛びまくります。是非お仕事ご一緒させてください! Tweet […]

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